【コンサート見聞録】2020年&2021年まとめ

【コンサート見聞録】2020年&2021年まとめ

2020年は新型コロナウイルスが猛威を振るい、演奏会に足を運べたのはまだ影響の少なかった1・2月のふたつだけでした(その後、かなりの演奏会が中止に)。
2021年になってからは少しずつ行ける機会が増えましたが、「収容率50%まで」という客数の制限がかかっていたり公演時間が1時間程度に短縮されていたり、まだまだ「通常通り」とは言えない状況が続きました。早くこれまでの生活が戻ってきてほしいですね。

それでは、2020年・2021年に足を運んだ演奏会をまとめてみます。

2020年

尚美ウインド・フィルハーモニー 第16回定期演奏会&陸上自衛隊中央音楽隊合同演奏会

尚美学園大学の吹奏楽団「尚美ウインド・フィルハーモニー」と「陸上自衛隊中央音楽隊」による合同演奏会。第1部は尚美ウインド・フィルハーモニーのステージ、第2部は陸上自衛隊中央音楽隊のステージ、第3部は合同合奏という構成でした。アンコールは《アプローズ!》。“卒業生” として私の紹介もありました。「皆さま、お手を拝借!」とお客さんに三本締めを促し、そのまま《アプローズ!》に入る、という演出が嬉しかったです(この曲は三本締めのリズムで始まります)。

  • 日時:2020/1/18(土) 14:00開演
  • 場所:尚美学園大学パストラルホール
  • 指揮:佐藤正人 (*) / 志賀亨 2等陸佐 (**)(***) / 後藤文夫 (***)
  • 演奏:尚美ウインド・フィルハーモニー*/陸上自衛隊中央音楽隊**
  • 曲目:▼第1部 尚美ウインド・フィルハーモニー:◇アスファルト・カクテル(J.マッキー) ◇シェナンドー(F.ティケリ)◇Mont Fuji ~北斎の版画に触発されて~(真島俊夫) ▼第2部 陸上自衛隊中央音楽隊:◇行進曲《美中の美》(J.P.スーザ) ◇コロニアル・ソング(P.グレインジャー) ◇祝典のための音楽(P.スパーク) ▼第3部:合同演奏: ◇森の贈り物(酒井格) ◇エル・カミーノ・レアル(A.リード) [アンコール] アプローズ!(坂井貴祐)

航空自衛隊航空中央音楽隊 第57回定期演奏会

演奏曲目はすべてエジプトに関係したもの。1995年度吹奏楽コンクール課題曲だった《行進曲「ラメセスII世」》を大幅に拡大した4楽章構成の《交響組曲「ラメセスⅡ世」》が期待通りに格好良く、聴き応えがありました(第2楽章が《行進曲「ラメセスII世」》)。私の座席の両隣が作曲家の北爪道夫さん・丹生ナオミさんで、休憩中の雑談もまた楽しかったです。

  • 日時:2020/2/1(土) 19:00開演
  • 場所: すみだトリフォニーホール
  • 指揮:松井徹生 2等空佐 / 芳賀大輔 3等空佐
  • 演奏:航空自衛隊航空中央音楽隊
  • 曲目:◇出エジプト記 (天野正道) ◇交響組曲『ラメセスⅡ世』(阿部勇一) ◇ラ!(D.ズベイ) ◇交響曲第0番(B.ピクール)

2021年

東京都交響楽団 第928回定期演奏会Bシリーズ

待望のオネゲル《交響曲第3番「典礼風」》。私はこの曲が大好きなのです。スピード感のある第1楽章「怒りの日」に続く第2楽章「深き淵より」のなんと美しいことか……。この曲のあとにフォーレの『レクイエム』が続くという構成も素晴らしく、その天国的な響きを存分に味わい、余韻に浸りながら帰路につきました(余談ですが、フォーレのレクイエムを聴くとデュリュフレのレクイエムも聴きたくなります)。

  • 日時:2021/6/1(日) 19:00開演
  • 場所:サントリーホール
  • 指揮:小泉和裕
  • 演奏:東京都交響楽団/中村恵理(ソプラノ)/ 加耒徹(バリトン)/新国立劇場合唱団(合唱)
  • 曲目:◇交響曲第3番「典礼風」(オネゲル) ◇レクイエム(フォーレ)

茅ヶ崎ウィンドシンフォニー レギュラーコンサート 2021

《セレモニアル・マーチ》の演奏でスタートしたレギュラーコンサート2021。35人前後での演奏は響きがスッキリしていてクラリネットとサックスの掛け合いなどもバランスよく聴こえました。トリの《オセロ》は仕事の都合で休団中のメンバーも加わっての迫力の演奏。客層は年配の方から小さいお子さんまでと幅広く、用意されていた席はほとんどが埋まっていました(収容制限により1席空け、市松模様の配置)。
前回の演奏会の時にも感じましたが、このバンドは本当に地域の方々に愛されていますね。会場内の雰囲気がとても温かかったです。「サザン」の曲の演奏を毎回楽しみにしているお客さんが多いのもこのバンドの特徴ですね。

  • 日時:2021/6/6(日) 13:30開演
  • 場所:茅ヶ崎市民文化会館 大ホール
  • 指揮:石井弘樹
  • 演奏:茅ヶ崎ウィンドシンフォニー
  • 曲目:◇セレモニアル・マーチ(坂井貴祐) ◇モンセラット(八木澤教司) ◇ネクスト・エンジェルス(清水大輔) ◇ミュージカル『レ・ミゼラブル』より(C.M.シェーンベルク/森田一浩 編曲) ◇鬼滅の刃メドレー(三浦秀秋 編曲) ◇サザンオールスターズ・メドレー(杉本幸一 編曲) ◇LOVE LOVE LOVE(遠藤幸夫 編曲) ◇美空ひばりメドレー(星出尚志 編曲) ◇オセロ(A.リード)

ヴィーヴ!サクソフォン・クヮルテット リサイタル Vol.18

委嘱をいただき作曲した《プラサ・デ・エスパーニャ》を初披露。《ペンタグラム》(2007)、《アリオーソとトッカータ》(2012) に続くヴィーヴ!委嘱作品第3弾です。本作はフラメンコからアイデアを得た部分が大きいスペイン風の作品ですが、本番ではアグレッシヴで最高の演奏をしていただけました。自作の初演に立ち会えたのが本当に久しぶりで(中止が続出したので……)、演奏後に私が紹介され起立した時には「懐かしい感覚!」と感慨深かったです。聴きたかった《異教徒の踊り》や、ヴィーヴ!のオハコ、ピアソラも大満足の演奏。去年から2度の延期を経てのリサイタル、開催されて良かったです。

  • 日時:2021/6/16(水) 19:00開演
  • 場所:東京文化会館小ホール
  • 演奏:ヴィーヴ!サクソフォン・クヮルテット
  • 曲目:◇異教徒の踊り(P.ショルティーノ)プラサ・デ・エスパーニャ [委嘱作品、初演](坂井貴祐) ◇変奏曲(P.M.デュボワ) ◇クロスオーバー組曲第1番 [委嘱作品、初演](O.M.シュヴァルツ)◇「ラ・カモーラ」より(A.ピアソラ/浅利真 編曲)

陸上自衛隊中央音楽隊 創隊70周年記念 第163回定期演奏会

当初予定されていたデメイ作曲《交響曲第4番「歌のシンフォニー」》の演奏を取りやめ、休憩無し70分プログラムとして組み直された演奏会。楽しみにしていた「秘儀」シリーズの新作《地響天籟》は圧巻の演奏で、これを聴けただけでも行った価値がありました。《オルガン付き》は懐かしのハインズレー版で。今となっては違和感が残る響き(オーケストレーション)もあり、違う編曲者の楽譜で聴いてみたかった、と思ってしまったのが正直なところです。
アンコールは《1964東京オリンピックのファンファーレ》と古関裕而 作曲の《オリンピック・マーチ》を続けて。こんな状況だけど、もうすぐ開催されるオリンピックは大成功して欲しい、そんなことを思いながら聴きました。

  • 日時:2021/7/4(日) 19:00開演
  • 場所:サントリーホール
  • 指揮:隊長 樋口孝博 一等陸佐
  • 演奏:陸上自衛隊中央音楽隊/長井 浩美(オルガン)
  • 曲目:◇君が代 ◇とこしえに交響なる楽手たち [初演](山口 浩志) ◇秘儀VIII『地響天籟』[記念委嘱作品、初演](西村 朗) ◇交響曲第3番 ハ短調『オルガン付き』(サン=サーンス/ハインズレー 編曲)

新日本フィル・シンフォニック・ジャズ・コンサート Special Guest 上原ひろみ

当初は5月に開催予定だった公演。緊急事態宣言の発出により「開催見送り」となっていましたが、延期公演が叶いホールに足を運ぶことができました。第1部は新日本フィルの単独ステージ、第2部はピアノに上原ひろみさんを迎えたステージ。プログラムを見て「MOVE をオケでやるの!?」と驚いたけど、エキサイティングで楽しかったです。アンコールでは新作も披露。上原さんのピアノ、本当にワクワクしますね。

  • 日時:2021/8/9(月・祝) 15:00開演
  • 場所:すみだトリフォニーホール
  • 指揮:沼尻竜典
  • 演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団/上原ひろみ(ピアノ) (*)
  • 曲目:▼新日本フィル・シンフォニック・ジャズ: ◇《キャンディード》序曲(バーンスタイン) ◇Legend of The Purple Valley(上原ひろみ) ◇《ウエスト・サイド物語》よりシンフォニック・ダンス(バーンスタイン) ▼with 上原ひろみ*: ◇BRAIN TRAINING(上原ひろみ) ◇REVERSE(上原ひろみ) ◇STEP FORWARD 1(上原ひろみ) ◇STEP FORWARD 2(上原ひろみ) ◇STEP FORWARD 3(上原ひろみ) ◇MOVE(上原ひろみ)

東京佼成ウインドオーケストラ 第155回定期演奏会

特に感銘を受けたのはA.リードの《パッサカリア》。音色や密度の変化、全体で築き上げる大きなうねりや圧倒的なクライマックスなど、大井さんの音楽づくりと奏者の方々の高い技術力、双方の素晴らしさが存分に発揮された名演で、最後のハーモニー群を聴いた時には鳥肌が立ちました。同じくリードの《交響曲第3番》は特に2楽章が絶品!オーボエソロもクラリネットソロも大変美しかったです。

  • 日時:2021/9/23(木・祝) 14:00開演
  • 場所:東京芸術劇場 コンサートホール
  • 指揮:大井剛史
  • 演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
  • 曲目:◇主題と変奏(A.シェーンベルク) ◇交響曲 第3番(V.ジャンニーニ) ◇パッサカリア(A.リード) ◇交響曲 第3番(A.リード)

佐渡裕×シエナ・ウインド・オーケストラ《ブラスの祭典2021》

《アルメニアン・ダンス》(全曲) とバーンズの《交響曲第3番》という、2つの大作をじっくり聴かせる演奏会。アンコールを含め、吹奏楽のかっこよさ、美しさ、楽しさ、すべてが詰まった内容に胸も目頭も熱くなりました。1999年に発売された佐渡/シエナのCD『ブラスの祭典』に夢中になり、楽屋口に行って佐渡さんにサインまでいただいていたあの当時の情熱、忘れかけていたなぁ(このCDには《アルメニアン・ダンス パート1》も収録)。
ちなみにアンコールで演奏されたのは、本プロとはキャラクターが180度異なる《ど演歌えきすぷれす》(!)(杉浦邦弘編曲)と、恒例の《星条旗よ永遠なれ》。《ど演歌~》の演奏後、佐渡さんが(バーンズの余韻に浸っていたいお客さんが多数いることを察して)「これ聴いて、怒った人もいるやろなぁ……」とおっしゃっていましたが、私は楽しそうな楽員さんたちの姿とその素晴らしい演奏に、いたく感動してしまいました。生でこういうエンタメな吹奏楽に触れる機会、コロナ禍でほとんど失われてしまいましたからね……。「でも、いつもみたいにこういう楽しい曲もやりたかった!」とは、先ほどの話のあとに続けた佐渡さんの言葉。

  • 日時:2021/9/29(水) 19:00開演
  • 場所:すみだトリフォニーホール
  • 指揮:佐渡裕
  • 演奏:シエナ・ウインド・オーケストラ
  • 曲目:◇アルメニアン・ダンス 全曲(A.リード) ◇交響曲第3番(J.バーンズ)
1999年当時、サインをいただいたCD

東京吹奏楽団 文化の日特別演奏会 ―渋谷の爽籟―

私編曲の楽譜を使用くださったモーツァルトの《オーボエ協奏曲》は、広田智之さん(東京都交響楽団 首席奏者)のソロをじっくり堪能できる至福の時間。東吹のサウンドもたいへん美しく、各声部のバランス、ソロと伴奏のバランスも絶妙で大満足でした。トリの《ドラゴンの年》は、オーケストレーションが拡大され華やかになった2017年版ではなく指揮者の伊藤慶亮さんが「あえて選んだ」というこだわりの1985年版。どちらの版の方が好きかは「2017年版」が発表された当初からSNSでもかなり意見が分かれていましたが、いずれにせよ、名曲ですね!重厚で聴き応えのある演奏でした。

  • 日時:2021/11/3(水) 14:00開演
  • 場所:渋谷区文化総合センター大和田
  • 指揮:伊藤慶亮
  • 演奏:東京吹奏楽団/広田智之(オーボエ独奏)
  • 曲目:◇ファンファーレ・フォー・トウキョウ(スパーク) オーボエ協奏曲 ハ長調 KV. 314(モーツァルト/坂井貴祐 編曲) ◇ガブリエルのオーボエ(モリコーネ/波多野直彦 編曲) ◇吹奏楽のための第1組曲(ホルスト) ◇吹奏楽のための第2組曲(ホルスト) ◇ドラゴンの年 [1985年版](スパーク)

井上幸子 リサイタル ~クラリネットとバスクラリネットの世界 13~

委嘱いただき作曲した、無伴奏バスクラリネットソロによる《龍は舞う》。CDに収録いただいたものとはまた別アプローチの、まさに地底から龍が出てきて井上さんに憑依したかのようなすごい演奏でした。「静寂」の表現とテンポが上がってからの超アグレッシブな演奏、後半の「間」、そして緊張感。暗転の中、舞台袖から数音の低音(この曲で地底を表す音から抜き出したもの)をゆっくりと、最弱奏で吹きながら登場し、中央の譜面台前へ到着した瞬間に明転、そのまま曲に入る、という演出がかなり効果的でした。客席から思わず「ブラボー」の声がかかるほどの熱演、嬉しかったです。

  • 日時:2021/11/27(土) 18:45開演
  • 場所: 静岡音楽館AOI
  • 演奏:井上幸子(バスクラリネット)/新納洋介(ピアノ)
  • 曲目:クラリネットの世界: ◇3つの小品(ストラヴィンスキー) ◇幻想小曲集 作品73(シューマン) ◇忘却(ピアソラ) ▼バスクラリネットの世界:◇ROMANZE -VIII-(小西奈雅子) 龍は舞う [委嘱作品、初演](坂井貴祐) ◇秘められた世界 [委嘱作品、初演](阿部勇一) ◇嘆きと希望 [バスクラリネット版初演](金山徹)

神戸女学院大学音楽学部 定期演奏会 2021

神戸女学院大学音楽学部の魅力が存分に味わえる演奏会。第1部が吹奏楽、第2部が合唱、第3部が管弦楽の形態で、それぞれをたっぷりと楽しませていただきました。私の《ブリリアント・スカイ》は航空自衛隊西部航空音楽隊の委嘱により2020年1月に作曲したもの。初演予定の演奏会が中止となり、今年3月の演奏会も無観客開催で立ち会うことができなかったため、この曲を演奏会で聴くのはこの日が初めてでした。活き活きした演奏がとても良かったです(当日の演奏)。翌日、神戸をたっぷり観光して帰宅。

  • 日時:2021/12/3(金) 18:30開演
  • 場所:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
  • 指揮:八木澤教司 (*) / 松下 耕 (**) / 山口英樹 (**) / 松浦 修 (***)
  • 演奏:神戸女学院大学音楽学部ウインドオーケストラ*/神戸女学院大学音楽学部コーラス**/神戸女学院大学音楽学部オーケストラ***
  • 曲目:▼神戸女学院大学音楽学部ウインドオーケストラ:ブリリアント・スカイ-碧き空は永遠に輝く(坂井貴祐)[関西初演] ◇思い出を永遠に抱いて(リチャード・ソーシード) ◇悠遠の羇旅-芭蕉の歩いた出羽路(八木澤教司)[西日本初演] ▼神戸女学院大学音楽学部コーラス:◇女声合唱とピアノのための「ミサ曲第9番」(オルバーン) ◇Missa Secunda(松下 耕) ▼神戸女学院大学音楽学部オーケストラ:◇ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21(ショパン) ◇交響曲第5番 ニ短調 op.47 「革命」(ショスタコーヴィチ)